ピーロート:まずは、 ピーロート・ブルーカビネットをどうぞ。
樹林ゆう子氏:『神の雫』では、フランスワインが一番登場するけれど、ドイツも歴史あるワイン産地で、掘り出し物がたくさんあります。なかでも一番生産量の多いリースリングは、高品質なものが多いですよね。
樹林伸氏:僕、学生時代に雪山のペンションでアルバイトしてたんですが、そこがドイツワインを扱っていまして、仕事が終わった後に、残ったボトルのワインを飲ませてもらったりしてました(笑)。その時に初めて格付けを覚えたりして、ドイツワインには今でも思い入れがあります。
ゆう子氏:ドイツワインの場合、収穫時における葡萄の糖度で等級が決まるんですよね。完成品であるワインの残糖度ではなく、原料である葡萄の段階で、というのが独特で面白い。
伸氏:ドイツワインは日常的に飲むテーブルワインを一番下にして、ざっくり3つのカテゴリーに分かれている。で、もっとも上級が『肩書き付き上級酒』というカテゴリー。ここはドイツワインのフラッグシップだから制約も厳しく、補糖、つまりワインに砂糖を添加することも許されていない。
ゆう子氏:カビネットもそのひとつよね。つまりこのワインの甘さは完全に葡萄由来の自然な甘さということね。
伸氏:そうそう。で、カビネットというのはその制約の厳しい最上級クラスの中のひとつの『肩書』になる。特徴としてはアルコール度数が低めで、糖度もそれほど高くない。だから、飲み口が爽やかで、スイスイ飲める。
ゆう子氏:リンゴ酸による爽やかな酸味と軽い甘味とのハーモニーが、なんとも居心地がいいですね。アルコール度も高くもないから、安心して飲める(笑)
ピーロート:はい、アルコール度数は8%です。
伸氏:香りは柑橘、洋梨、白百合とか林檎のニュアンスがあるなあ。実に穏やかな香りだ。葡萄品種はなんですか?
ピーロート:シルヴァーナ、ミュラー=トゥルガウ、ケルナーのブレンドです。
伸氏:なるほど、この柑橘っぽい感じはシルヴァーナからくるんだね、たぶん。
ゆう子氏:ミュラー・トゥルガウは、確かドイツではかなり広範囲で栽培されている葡萄ですよね。飲み口の爽やかさ、フレッシュさはこの葡萄の個性ですね。